■Chiicupとは?
Chiicup(ちぃかっぷ)は、女性や高齢者が災害時に直面する「排泄困難」に着目し、開発されたカップ型の簡易トイレです。避難所の「汚トイレ」や仮設トイレの長蛇の列を避けて排尿を我慢した結果、エコノミークラス症候群や膀胱炎、脱水、血栓症など健康リスクが高まる現状に対し、「トイレに行けないことが命を脅かす」問題として警鐘を鳴らしています。
また、キャンプ・登山などのアウトドアシーンにおける携帯トイレとしても活躍します!
Chiicupは、立った状態・座った状態でも、人目を避けながら静かに排尿できる構造で、様々な環境に合わせて使用できます。また使用後は凝固剤で処理し袋で密封できるため、臭いも気にならず、女性の尊厳を守りながら衛生的に利用できます。また、ビニール袋(防臭袋、ゴミ袋、レジ袋など)と凝固剤(代替品:ナプキン、新聞紙など)があれば、何度でも繰り返し使用できるので安心です。
なぜ、私が災害時の女性のトイレ問題に取り組むようになったのかを少しお話しさせていただきます。2004年、私が16歳の時に新潟中越地震が起こりました。当時、北海道の札幌に住んでいた私にとって地震や避難所の存在は遠い存在でした。ニュース番組に倒壊した家の前で大粒の涙を流している高齢女性が映っていました。「何かしたい」という想いが強くなり、母親や学校の先生に相談して新潟県の見附市へボランティア活動に行くことにしました。飛行機・電車・バスを乗り継いで近づける所まで行き、最後は徒歩で目的の避難所へ向かいました。被災地では、お弁当の配布や避難所でのお話相手、被災した住宅の片付け等を行いました。避難所では、医療派遣チームの方達が献身的に働いていました。血圧計測や医療相談の場所には、多くの方達が並び看護師さんとお話をしていました。そこで見たお婆さんのホッとした笑顔を見て、自身も看護師に憧れました。帰郷後、北海道から初めて単身ボランティアに行った高校生として取材も受けました。その時に話した「自分にも何かできる」という想いが今の自分の原点となっています。
2011年、北海道の医療系大学を卒業し看護師となりました。その後、私自身はライフイベントの結婚、出産、離婚を経て東京に移り、近年は新型コロナウイルスという社会問題の医療相談対応をしてきました。そんな中、ずっと思ってきた看護師として災害の役に立ちたいという気持ちから防災士の資格を取得し、今の自分に何ができるだろうという事を考えてきました。
災害時のエコノミークラス症候群について長年取り組んできた新潟大学の榛沢和彦(はんざわ かずひこ)氏は、新潟中越地震で、エコノミークラス症候群によって大きく報じられた震災発生8日目まで、エコノミークラス症候群患者は増え続け、被災前は健康だった14人、医療機関に搬送された14人全てが女性で、7名の女性が命を落とし、6名が50歳以下、亡くなった7人全員が夜間にトイレに行っていなかった。と調査結果を発表しています。また熊本地震においても避難所にて災害関連死してしまった方の殆どが誤嚥性肺炎を起こしている事を知りました。その根源にも女性のトイレ問題が見えてきました。ここから「女性がどんな環境でも気軽に用を足すことができたら被害にあう方を減らせるのでは・・・」という想いが芽生えました。
私は1人の女性として、母として、娘として。また看護師・防災士として災害時の女性のトイレ問題解決の糸口になって欲しい、女性を災害時の健康被害から1人でも多く守れる一助になって欲しいという思いで製品を誕生させました。製品の名前は、Chiicup (ちぃかっぷ) 、ちょっと可愛い、でも頼もしい女性の味方です。
※現在、都内の行政窓口にもご協力をいただき、少しずつですが配布(寄付)活動も行っています。
Chiicup開発者: 髙野 明子